第34話
検査(6)まとめ
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イケブクロ博士
そーじゃ、そーじゃ
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ワクチー
何が、そじゃ?
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イケブクロ博士
いやー。そーじゃ、この間ヒーくんに、COVID-19には3つの検査法があることを、すっきりとプレゼンしてもろたのぅ。ワクチー、3つの検査法とは、何だったかのぅ。
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ワクチー
またイケブクロ博士のむちゃぶりですか。
えーと、PCR検査はシーラ先生のお話でだいたい分かりました。あとの2つは、抗原検査と抗体検査だーぃ。 -
シーラ先生
まーっ、ワクチーは元気がいいだけだと思えば、ちゃんと復習をしているのですね。正解の💮ですよ。
検査の話を続けましょう。PCR検査については、これまでお話ししたものから、もっと技術的に進歩した方法が開発され利用されていますが、それらについてはまたの機会にお話ししましょう。 -
ヒーくん
遺伝子編集技術をつかった検査法についても知りたいので、楽しみにしています。
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シーラ先生
そうですね。ヒーくんの言う遺伝子編集技術を使って、ベッドサイト(ポイントオブケア)で迅速で簡便にコロナウイルスを検査ができるキットが、去年の5月にアメリカで緊急時使用許可になって使われています。そこで使われている遺伝変編集技術ついても、ぜひいつかお話ししましょうね。
さて、PCR 検査はウイルスの遺伝子を検出し、抗原検査は免疫反応を引き起こすウイルス抗原のタンパク質を検出するため、この 2 つの検査では「現在感染しているか」を確認できます。
一方、抗体検査は免疫反応によって体内で生成された抗体を検出するため、「過去に感染したことがあるか」を確認できます。 -
ミク
「過去に感染したことがある」を確認できるということは、初めての感染では、抗体ができないということですか?
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シーラ先生
ミク、良い質問ですね。初めての感染で抗体はできます。ヒトは、ウイルスに対抗するために免疫反応で抗体を作るからですね。
でも、抗体が体内でつくられるのには通常感染してから2~3週間はかかります。このため、抗体検査はその時点で感染しているか、感染していないかを知る手がかりとはならないので、最初の感染の検査はできないのです。それで、過去の感染の検査ができるのですが、これを知ることも大切なことです。 -
ヒーくん
抗体を持っていることがわかれば、感染しないので安心できるし、抗体検査を大勢の人にすれば、その社会がどのくらい免疫されているかも分かるということですね。
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シーラ先生
ヒーくん、その通りですね。それでは、ここで、PCR検査、抗原検査、そして抗体検査の使い分けについてお話しましょう。
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図34-1 コロナウイルス量と病気の期間、症状の経過 -
シーラ先生
ある人がウイルスにさらされて感染すると、その人の体内では、ウイルス量が急速に増えます。新型コロナの場合、ウイルス量がピークになったあたりで発症するといわれています。そして発症後は、無治療でもどんどんウイルス量は減少し発症後1週間ほどでほぼゼロになります。重症化するのはこの後、すなわちウイルスが消えてからです。したがって、検査を受ける時期により、検体採取部位からウイルスが消失し検出できないことがあります。
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図34-2 各種検査で、新型コロナウイルスが検出されやすい時期
毎日新聞2020.07.30より -
シーラ先生
抗原検査はイメージとしてはインフルエンザの簡易検査を想像すればいいでしょう。現在使われている抗原検査は、イムノクロマト法と呼ばれる方法で行われ、結果が早く出て、(比較的)安いのですが、体内にウイルスがいても、ある程度ウイルス量が多くないと検出できない可能性があります。PCRは、感度が高く、精度は抗原検査よりも高いといえます。
しかし、感度が高いがゆえの欠点もあります。例えば「PCRが陰性にならなければ退院できない」というルールで、とっくに治っているのに退院できなかった患者さんもいたのですね。また、症状出現前に検査をすると、感度はそれほど高くない。PCRを過信して、やみくもに検査の対象を広げるべきではないということですね。
抗体検査は、ワクチンの効果を知るのに、個人としても集団としても有効です。また疫学調査にも有効です。 -
イケブクロ博士
今日は、シーラ先生の独断場でした。
ところで、シーラ先生は明日からアイルランドへ帰るそうじゃ。
検査法の話もまだまだあるがのう、また次の機会にして、ひとまずシーラ先生の検査のお話はここまでにしましょう。シーラ先生、元気でいってらっしゃい。 -
ボンテン博士
レオン先生
リバシブル総理ありがとうございました。
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ワクチー
ヒーくん、ミクSee you! お土産まってまーす。