第18話
エアロゾル(2)
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レオン先生
エアロゾルと飛沫と、空気の流れの問題に早速入りましょうね。
まず1問目
エアロゾルはマスクを通り抜けるでしょうか? -
ワクチー
ヒーくん、ミク通り抜けませーん!
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ヒーくん
家にある不織布のマスクは、0.1マイクロの粒子のろ過効率(PFE)が99.9%と表示してあるので、エアロゾルは通り抜けないことは分かりますが、布マスクのように繊維の隙間が大きいマスクでも、エアロゾルを通さないのは何故ですか?
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レオン先生
ヒーくんは、いつもいいところに気が付きますね。これは流体工学の問題なのですね。
空気中に浮遊するエアロゾルは、不規則に運動しながら流されます。 -
図18-1 -
レオン先生
この不規則な運動は、ブラウン運動といって、1800年代にスコットランド生まれの植物学者ロバート・ブラウンが、水の浸透圧で破裂した花粉から水中に流出し浮遊した微粒子を、顕微鏡で観察中に発見したものです。
この図がブラウン運動の軌跡図ですが、(0,0)から始まって、このようにランダムに動き回るのが観察できます。 -
ヒーくん
生物の実験でブラウン運動を観察しましたが、顕微鏡でいつまで見ていても飽きなかったです。
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レオン先生
空気の流れがないところで、エアロゾルはこんな感じで動き回って拡散していくのですね。
ところで、ブラウン運動については、1900年初めにアインシュタインが関係式を解いていて、この「アインシュタインの関係式」は原子の存在を明白に証拠づけたのです。 -
ワクチー
舌をだして笑った写真のアインシュタインだ!ヒーくん、こんどワクチーにブラウン運動見せてね。
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レオン先生
それはいいですね!参考までにアインシュタインの関係式を書きますと、このようになります。
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図18-2 -
レオン先生
私は、複雑な自然現象を解いた数式を見ると、みんな単純で美しいので感動します。
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リバシブル総理
自然のなす真理ですね。
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レオン先生
つぎに、マスクです。
不織布と布のマスクを拡大すると、この写真ように繊維が絡み合っています。 -
図18-3 -
レオン先生
布は織ったものですから、このように規則的に糸が絡み合っていますが、不織布は不規則にファイバーが絡み合っています。
ここをエアロゾルが通貨する様子をイメージしたイラストが写真の下のイラストです。
エアロゾルはブラウン運動しながら、ここを通っていきますが、マスクはエアロゾルを簡単には通しません。何故でしょうか?
酔っ払いが椅子の散らばった部屋を通り抜ける様子を想像してみてください。エアロゾルは酔っ払い、椅子はマスクの線維です。
このように「マスクの線維は微粒子をトラップして(止めて)しまうのです」 -
ミク
エアロゾルの酔っ払いが、マスクの繊維の椅子に、ガンガンとぶつかって、倒れてしまうという感じかしら。
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レオン先生
そうですね、ミク。ですから、マスクはエアロゾルを8割以上通しません。
不織布のマスクなら殆ど通さないことも分かっていますよ。飛沫の方はもっとマスクを通りにくく、布でも不織布でも、殆どブロックされます。 -
図18-3 -
レオン先生
でもね、マスクをしていてもヒトは呼吸しますね。エアロゾルはすき間があれば息を吸うとそこから入ってきます。
ですから、マスクは顔にピッタリフィットして着用することがとても大切です。鼻を出してマスクをしている人がいますが、鼻を出していてはマスクをしないのと変わらないですね。とにかく「フィットマスク」です。 -
イケブクロ博士
レオン先生、斬新なお話でしたね。
さて、次の2番目の質問は「エアロゾルは、ものの表面に着くでしょうか」じゃった。これも流体力学の話になってくるのじゃのぅ。
でもじゃ、この辺で信玄餅タイムとするかのう。きな粉たっぷりと。 -
ワクチー
ヒーくん、ミク蜜もたっぷり!
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ボンテン博士
なかなか渋いですね。私も一口!