第14話
コロナワクチン(2)
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イケブクロ博士
さて、ワクチーが「スパイクの赤い印になるものを注射すると、免疫反応するっていうところが、どうなっているのか」を知りたいといっておったのう。
ボンテン博士、そこから始めましょう。 -
ワクチー
そうだったか、どうだったか。そんなさかっ、こんなさかっ♪♬面白そう!
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ミク
ワクチー、絶好調ね。真面目に聞こうね。
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ボンテン博士
免疫反応についてですね。
ミクがこの前うまく説明したように、体にウイルスが入ってくると、これをやっつける抗体ができます。ところで、ウイルスが体にはいってくると、これを「食べてしまう」免疫反応も、みなさんの体には備わっています。 -
ワクチー
ギョギョギョ!食べちゃうの?
ウイルスってまずいだろうな。 -
ヒーくん
ワクチー、食べてしまうのは、マクロファージという細胞で、貪食作用というのだよ。ボンテン博士、自然免疫のことですね。
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ボンテン博士
そうですね。免疫反応は、大きく分けて自然免疫と獲得免疫があります。
自然免疫は、ウイルスや細菌などが体に侵入すると、マクロファージや好中球という食細胞がウイルスを貪食する反応です。 -
ワクチー
真っ黒ファージのどん食、丼食だ。
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ボンテン博士
マクロファージは、白血球の一種ですが、ふつうの細胞より大きい(マクロ)くて、異物を食べる(ファージ)細胞です。
ヒトの体のどこにでもいて、細胞に侵入する前や、侵入し損なったウイルスを食べて掃除をしてしまいます。この自然免疫力が強ければ、少々のウイルスが侵入してきても、感染しないことになります。 -
レオン先生
私は風邪をめったにひきませんので、自然免疫力が強いのでしょうね。
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ワクチー
そうかー、真っ黒ファージきたえよう!
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ボンテン博士
自然免疫をくぐりぬけたウイルスに対して、からだが対応して獲得免疫が働きます。
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ミク
獲得免疫は、ウイルスが侵入してきたときに、体が抗体を作ることかな?
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ボンテン博士
ミク、その通りですよ。獲得免疫は、ウイルスが体に侵入してくると、これをやっつける抗体ができるという反応ですが、この仕組みには、4種類の細胞が役割分担して働きます。
獲得免疫の働きの図を見ながら聞いてくださいね。 -
図14-1 -
ボンテン博士
ウイルスが体に侵入してくるところから行きます。
コロナウィルスのスパイクタンパク質が、ヒトの鼻、口、目、肺などの粘膜の細胞にあるACE2受容体と結合し、細胞の中に侵入すると、細胞はウイルスをたくさん作って増やした結果、細胞は死んでしまいます。
細胞から飛び出したウイルスは、次々と別の細胞に移って感染を広げますが、免疫系がウイルスを取り込むこともできます。
ここから獲得免疫反応が始まります。 -
図14-2 -
ボンテン博士
ウイルスを取り込む主役は、樹状細胞です。
樹状細胞は、ウイルスを見つけて取り込み、「その情報(ウイルスの情報=スパイクタンパク質の目印)を伝達する」役割をします。 -
ヒーくん
樹状細胞は秘密警察のようなものですね。
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ワクチー
真っ黒ファージとジュジョウさいぼう!わかった、ジャイアンとコナンだ。
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ボンテン博士
スパイクの赤い目印情報は、樹状細胞から2つの細胞に分かれて伝わります。
1つはキラーT細胞です。
キラーT細胞は、コロナウィルスに感染した細胞を殺してしまいます。細胞が死ねばウイルスは増えなくなりますね。
もう1つは、ヘルパーT細胞です。
このヘルパーT細胞が、B細胞に情報(赤い目印)を伝達して抗体を作るよう指令をだします。その指令を受けて、B細胞は赤い目印のついた抗体をつくります。 -
イケブクロ博士
自然免疫、獲得免疫ときて、目印のついた抗体ができる仕組みまできたのう。
この辺で、それぞれが頭の整理するために、トコロテン休憩じゃ。 -
リバシブル総理
少し疲れたので、蜜をたっぷり入れたところてんは、ちょうど良いタイミングですね。
T細胞のお話は、次のお楽しみですね。